2014年12月までに、消費税率10%時への軽減税率の導入について本格的な議論が始まることになりますが、それに先立って、財務省は世帯収入ごとの食料品(酒類・外食を除く)の支出割合を初めて試算しました。
それによりますと、所得が低い層ほど収入の中で食料品に支出する割合が高くなることから、低所得者対策として、生活必需品への軽減税率導入の必要性が改めて裏付けられました。
財務省は、総務省の家計調査年報(2012年)を基にして、収入階層ごとに酒類と外食を除いた食料品の支出割合を試算しました。
年収248万円以下の世帯では、年間平均36.2万円を食料品に支出し、収入に占める割合は21.3%で最も高くなりました。そして、年収が上がるごとに、収入に占める食料品の支出割合は減少し、年収722万円以上の世帯では平均76.8万円(7.2%)となりました。収入が上がるごとに食料品への支出は増えていますが、年収に占める割合は低下しております。
2015年10月の消費税率10%への引上げ時と同時に軽減税率導入を求める公明党に対し、税収減や事業者の事務負担増などで導入に否定的だった自民党でしたが、「税率10%時」とは引上げと同時か、それ以降なのか曖昧な表現で合意しました。
今後、軽減税率導入で影響を受ける事業者団体などに6月からヒアリングを実施し、2014年12月に決定する2015年度税制改正大綱において結論を得る予定です。
なお、公明党はこれまでの議論のなかで、酒類と外食を除く食料品全般と、新聞・書籍などの出版物に対して軽減税率を適用するように提案しております。
今回の財務省の試算は、公明党が求めている適用対象に沿ったもので、消費税率が上がれば、低所得者層ほど日用品の購入への負担は大きくなります。
一方、食料品全般と新聞・書籍等を対象品目に消費税率を1%引き下げると、5千億円弱の税収減、消費税率2%引下げ時には1兆円近い減収となる模様です。
自民党や財務省は、できるだけ対象品目を限定したい考えですが、そもそも、軽減税率は導入されるのか、今後の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、平成26年5月19日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。